試用期間とは何か|社会保険・有給・本採用まで、入社前に知っておきたいこと

転職活動働き方その他
公開 2026.07.31読了 13執筆・監修:Talentier編集部
文字サイズ
先に結論SUMMARY

試用期間は「まだ正式に採用されていない期間」ではありません。

入社したその日から労働契約は成立していて、社会保険は原則として入社日から加入します(日本年金機構は、試用期間中でも報酬が支払われる場合は使用関係が認められるとしています)。年次有給休暇の勤続期間にも試用期間は含まれます。 ただし適性を見る期間である以上、本採用の拒否は通常より広く認められます。仕組みを正しく知っておくことが、いちばんの備えになります。

内定が出て、労働条件通知書を見たときに「試用期間3か月」と書かれていた。そこで初めて、少し不安になる。

  • この期間に見限られたら、どうなるんだろう?

  • まだ正式な社員ではないということなの?

初めての転職では、この「試用期間」という言葉が、思いのほか重くのしかかります。
前の会社を辞めてまで移るのに、その先で身分が不安定なまま数か月を過ごすように感じられるからです。

ただ、試用期間の実態は、多くの人が想像しているものとは少し違います。
いちばん大きな誤解は、試用期間を「まだ採用が確定していないお試し期間」だと思ってしまうこと。実際には、入社したその日から労働契約は成立しています。だから社会保険も、有給休暇の起算も、入社日から動きます。

一方で、適性を判断するための期間であることも事実で、本採用を拒否される可能性が通常より広く認められています

この記事では、試用期間とは何かという基本から、社会保険や給与、有給の扱い、そして本採用されないことがあるのかまでを、法律と公的な資料に沿って整理します。必要以上に怖がらず、かといって油断もしない。そのために必要な知識を、ひととおり押さえておきましょう。

試用期間とは何か

試用期間とは、採用した人が実際に仕事を進められるか、職場になじめるかといった適性を、会社が見きわめる期間です。多くの会社が就業規則で定めています。

意外に思われるかもしれませんが、労働基準法には試用期間の長さを定めた規定がありません。何か月にするかは、会社が就業規則などで決めています。実務上は1か月から6か月とする例が多く、3か月あるいは6か月という設定をよく見かけます。

では、いくらでも長くしていいのかというと、そうではありません。厚生労働省が裁判例の整理として示している方向性では、試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれるため、適性を判断するのに必要な合理的な期間を超えた長期の試用期間は、公序良俗に反してその限りで無効と解される、とされています。

実際にそう判断された裁判例もあります。ブラザー工業事件(名古屋地裁・昭和59年3月23日)では、中途採用者が見習社員として6〜15か月ほど働いた後、さらに12〜15か月の試用期間を設けられていました。裁判所は、見習社員の期間中に適性は判断できるのだから、その後さらに長い試用期間を設ける合理的な必要性はないとして、当該解雇を無効としています。

つまり、試用期間は会社が自由に何年でも設定できるものではなく、適性を見るのに必要な範囲に限られる、というのが法的な考え方です。

ちなみに、試用期間を設けていない会社もあります。法律上の義務ではないので、置かないという選択も可能です。特に、専門職の中途採用で即戦力として迎える場合や、選考の中で十分に見極めたと判断した場合には、試用期間なしで採用することもあります。試用期間があるかないかは、その会社の慎重さや採用の考え方を表すもので、良し悪しの話ではありません。

試用期間中も、雇用契約はもう成立している

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

試用期間について、厚生労働省は裁判例の基本的な方向性として、その期間を「解約権が留保された試用期間」と整理しています。
少し硬い言い方ですが、意味するところは明確です。労働契約そのものはすでに成立していて、ただ会社側に、通常より広い範囲で契約を解約できる権利が留保されている、という状態です。

最高裁の神戸弘稜学園事件(平成2年6月5日)でも、試用期間中の労働者が他の労働者と同じ職場で同じ職務に従事し、会社の取扱いにも変わるところがないような場合には、その契約は解約権留保付雇用契約と解される、と判示されています。

言い換えると、「試用期間が明けて初めて社員になる」のではありません。入社した日から、あなたはすでにその会社の労働者です。この違いは、感覚の問題ではなく、実際の待遇に直結します。次に見ていく社会保険や有給休暇の扱いが、まさにそれです。

社会保険は、入社日から加入するのが原則

「試用期間が終わってから社会保険に入る」という説明を受けたことがある人は、注意が必要です。

試用期間中であっても、報酬が支払われて働いている以上は加入の対象です。加入の起算日は、実際に働き始めた日、すなわち入社日になります。
会社の都合で「試用期間中は加入させない」「正社員になってから入れる」と後ろ倒しにすることは認められていません。

これは細かい手続きの話に見えて、実は生活に直結します。
健康保険に入っていれば医療費の自己負担は原則3割で済み、厚生年金に加入していればその期間は将来の年金額に反映されます。試用期間の3か月が未加入だと、その分だけ空白が生まれます。

入社後に保険証(現在は資格確認書やマイナ保険証での確認になります)の案内がない、給与明細から社会保険料が引かれていないといった場合は、確認したほうがよいサインです。

有給休暇も、試用期間から数え始める

年次有給休暇は、雇い入れの日から6か月間続けて勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に与えられます。

ここで問題になるのが、この6か月に試用期間が含まれるのか?という点です。

含まれます。年次有給休暇の算定期間については、試用期間も勤務期間に含めて計算するというのが労働基準法の考え方です。

たとえば4月1日に入社して、試用期間が3か月(6月末まで)だったとします。この場合、有給が発生するのは本採用から6か月後の12月ではなく、入社から6か月後の10月1日です。試用期間の3か月分もきちんとカウントされます。

「試用期間中だから有給はない」と言われた場合、それは試用期間中に有給が発生していない(入社6か月未満)という意味であれば正しいのですが、試用期間の分は勤続年数に数えないという意味であれば誤りです。

なお、有給が発生する前に、どうしても休まなければならない事情が生じることもあります。その場合は欠勤扱いになるのが原則ですが、会社によっては特別休暇を用意していることもあります。入社時に配られる就業規則を、一度目を通しておくと安心です。

似た話として、雇用保険も試用期間中から加入の対象です。週の所定労働時間が20時間以上あり、31日以上引き続き雇用される見込みがあれば、本人の希望にかかわらず被保険者になります。正社員として入社したのであれば、通常はこの要件を満たします。ただし、失業給付を受けるには離職前の一定期間に被保険者だった期間が必要になるため、加入したからといってすぐに給付を受けられるわけではありません。前職での加入期間が通算される場合もあるので、必要になったときはハローワークで確認するのが確実です。

給与が本採用後より低い場合

試用期間中の給与を本採用後より低く設定している会社もあります。これ自体は違法ではありません。ただし、いくつかの条件があります。

まず、試用期間中の労働条件は、あらかじめ明示されている必要があります。労働条件通知書や雇用契約書に、試用期間中の賃金がいくらなのか、本採用後にいくらになるのかが書かれているかを確認してください。入社してから初めて「試用期間中は2割引きです」と言われるようなことは、本来あってはなりません。

次に、当然のことながら、最低賃金を下回ることはできません。試用期間であっても最低賃金は適用されます。

求人票に書かれていた金額が本採用後のものなのか、試用期間中のものなのかは、内定承諾の前に必ず確かめておきたい点です。月額で数万円違えば、生活設計に影響します。ここを曖昧にしたまま入社すると、最初の給与日に想定と違う金額を見ることになります。

内定承諾の前に確認しておきたいことを、いくつか挙げておきます。

試用期間の長さと、いつまでかという具体的な日付。期間中の給与額と、本採用後の給与額。賞与の支給対象になるのはいつからか。そして、試用期間が延長される可能性があるのか、あるとすればどういう場合か。

このうち、試用期間の延長については補足が要ります。就業規則に延長の定めがあり、延長する合理的な理由があれば、延長自体は可能とされています。ただし、適性を判断するのに必要な範囲を超えて長く引き延ばすことは、前述のとおり認められません。もし延長の可能性があると説明されたなら、どういう場合に延長されるのかまで聞いておくほうが安心です。

これらは、聞きにくいことのように感じるかもしれません。ただ、労働条件の確認は本来当然の手続きです。むしろ、こうした質問に丁寧に答えられない会社のほうが、入社後の説明も不十分である可能性があります。

本採用されないことは、あるのか

ここまで読むと「試用期間もそれほど心配いらない」と思えてくるかもしれません。ただ、この点については正確に知っておく必要があります。

厚生労働省が示している裁判例の基本的な方向性では、試用期間である以上、解約権の行使は通常の場合よりも広い範囲で認められる、とされています。つまり、通常の解雇と全く同じ厳しさではありません。適性を見るための期間なのだから、その趣旨に沿った範囲で、会社は通常より広く契約を解約できる。これが建て前です。

ただし、同じ整理の中で、続けてこう述べられています。試用期間の趣旨・目的に照らし、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当とされる場合にのみ許される、と。

ここが重要です。「広い範囲で認められる」ことと「自由にできる」ことは違います。合理的な理由が要るという枠は、試用期間中でも外れません。神戸弘稜学園事件の最高裁判決でも、試用期間の満了によって契約が終了するのは、留保された解約権の行使が許される場合でなければならない、とされています。

現実的な線引きとして言えば、「なんとなく雰囲気が合わない」「思っていたのと違った」といった主観的な理由だけで本採用を拒否することは、簡単には認められません。一方で、著しく能力が不足していて、会社が指導や教育をしたにもかかわらず改善が見られない、経歴に重大な虚偽があった、勤務態度に問題があるといった事情が積み重なれば、認められる余地は出てきます。

もう一つ、手続きの面でも守りがあります。
労働基準法では、解雇する場合に少なくとも30日前の予告か、それに代わる解雇予告手当の支払いが必要とされています。試用期間中の人については例外があり、入社から14日以内であればこの予告は不要とされていますが、14日を超えて働いている場合には、通常どおり予告か手当が必要になります。この14日は出勤日数ではなく暦日で数えます。

それから、実際の運用として知っておきたいこともあります。本採用の拒否は、ある日突然通告されるものというより、その前段階があるのが通常です。会社側が後から合理性を説明できるようにするには、問題点を指摘し、改善の機会を与えた記録が必要になるからです。逆に言えば、指導も注意も一度もないまま満了時に打ち切られたという場合、その拒否には合理性を欠く可能性があります。

もし試用期間中に、上司から繰り返し同じ点を指摘されるようなことがあれば、それは黙って耐える場面ではなく、具体的に何をどう変えればよいのかを確認する場面です。認識を揃えておけば、双方にとって無用な行き違いを避けられます。

まとめると、試用期間中の立場は「まったく守られていない」わけでも「通常と全く同じ」わけでもありません。通常より会社側の裁量は広いが、理由なく切ることはできない。この中間にあると理解しておくのが正確です。

試用期間は、こちらが会社を見極める期間でもある

ここまでは、会社があなたを見る側面の話でした。けれど、試用期間はもともと相互的なものです。会社が適性を見ている数か月は、あなたがその会社を見ている数か月でもあります。

入ってみないと分からないことは、たしかにあります。実際の業務量、上司の指示の出し方、意思決定の速さ、残業の実態、人間関係の空気。求人票や面接では見えなかった部分が、働き始めると一気に見えてきます。

この期間に意識しておきたいのは、感じたことを言葉にしておくことです。違和感があったなら、それが一時的なものなのか、構造的なものなのか。慣れれば解消するものなのか、この会社の性質そのものなのか。ここを整理しておくと、仮に早い段階で判断が必要になったときにも、感情ではなく事実に基づいて考えられます。

見るべき点を挙げるとすれば、いくつかあります。

聞いていた業務内容と、実際に任されている仕事が一致しているか。これは求人票との照合なので、比較的はっきり分かります。次に、分からないことを聞ける相手がいるか。入社直後に質問できる関係が作れないと、その後も苦しくなります。そして、残業や休日出勤の実態が説明と食い違っていないか。制度としてどうなっているかではなく、周囲が実際にどう働いているかを見るのが確実です。

ただし、入って1か月ほどは、誰でも勝手が分からず苦しいものです。仕事の進め方も人間関係も、まだ手探りの段階です。この時期の居心地の悪さは、会社の問題というより慣れの問題であることが多いので、あまり早く結論を出さないほうがいいでしょう。判断するなら、ひととおり業務を回してみてからで十分です。

そしてもう一つ。試用期間を落ち着いて過ごすためには、入社前の準備が効きます。自分がこれまで何をしてきて、何ができて、次の職場で何を任されたいのか。これが言葉になっていると、上司との最初の面談で具体的な話ができます。任せる側からすると、何を任せればいいかが分かる相手のほうが、仕事を渡しやすいものです。

Talentier Path〈パス〉は、AIで履歴書・職務経歴書を作成できるサービスです。完全無料で、採用実務の経験を持つ人が監修しています。質問に答えていくと、これまでの経験が採用担当に伝わる形の文章に整っていきます。転職活動のための書類としてはもちろん、入社後に自分の経験を説明する材料としても使えます。

まとめ

試用期間は、まだ正式に採用されていない期間ではありません。
入社した日から労働契約は成立していて、厚生労働省の整理でも、解約権が留保された雇用契約と位置づけられています。

だから社会保険は入社日から加入するのが原則で、日本年金機構も、試用期間中でも報酬が支払われる場合は使用関係が認められるとしています。
年次有給休暇の勤続期間にも試用期間は含まれるので、入社から6か月で有給が発生します。

一方で、適性を見るための期間である以上、本採用の拒否は通常より広い範囲で認められます。
ただしそれも、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性があってのことです。理由なく切られる立場ではありません。

必要以上に怖がる必要はありませんが、内容を知らないまま入社するのも避けたいところです。
労働条件通知書で試用期間の長さと期間中の給与を確認しておくこと。そして、入社後に何を任されたいかを言葉にしておくこと。
この2つを済ませておけば、試用期間は「試される期間」ではなく、お互いを確かめる期間になります。

よくある質問

Q. 試用期間は何か月が普通ですか?

労働基準法に試用期間の長さを定めた規定はなく、会社が就業規則などで決めています。実務上は1か月から6か月とする例が多く、3か月または6か月という設定をよく見かけます。ただし、適性を判断するのに必要な合理的な期間を超える長期の試用期間は、公序良俗に反して無効と解されるという裁判例の整理が厚生労働省から示されています。

Q. 試用期間中でも有給休暇はもらえますか?

年次有給休暇は雇い入れの日から6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に与えられます。この6か月には試用期間も含まれるため、試用期間が3か月で入社から6か月経過していれば、有給は発生します。試用期間中に有給が発生しないのは、単に入社から6か月経っていないためであり、試用期間だから数えないという意味ではありません。

Q. 試用期間中は社会保険に入れないと言われました。正しいですか?

正しくありません。日本年金機構は、試用期間中でも報酬が支払われる場合は使用関係が認められるとしており、加入要件を満たしていれば入社日から健康保険・厚生年金保険の対象になります。会社の都合で加入日を後ろ倒しにすることは認められていません。給与明細から社会保険料が引かれていない場合は、会社に確認することをおすすめします。

Q. 試用期間中に自分から辞めることはできますか?

できます。試用期間中も労働契約は成立しているので、退職の手続きは通常と同じです。期間の定めのない雇用契約であれば、民法上は退職の申し入れから2週間で契約が終了します。ただし就業規則で異なる予告期間が定められている場合もあるため、実際には引き継ぎも含めて会社と相談しながら進めるのが現実的です。

Q. 試用期間で本採用されないことはありますか?

あります。厚生労働省が示す裁判例の方向性では、試用期間中の解約権の行使は通常の場合よりも広い範囲で認められるとされています。ただし、それも試用期間の趣旨・目的に照らして客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限られます。「なんとなく合わない」といった主観的な理由だけで本採用を拒否することは、簡単には認められません。また、入社から14日を超えて働いている場合は、解雇予告または解雇予告手当が必要になります。

関連サービス

出典

READ, THEN ACT — 読むだけで終わらせない

あなたのキャリアの、続きを。

STEP 01

自分を、診断する。

15分の診断で、強みと価値観を可視化。

無料で診断する →
STEP 02

書類を、つくる。

AIとの対話だけで履歴書・職務経歴書が完成。

無料でつくる →
STEP 03

求人を、さがす。

あなたに合う求人へ。書類はそのまま応募に。

求人を見る →

RELATED関連記事