転職、難しくなった?|企業側から見た、いまの選考の実態

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公開 2026.08.04読了 10執筆・監修:Talentier編集部
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先に結論SUMMARY

選考が進まないのは、あなたの力不足とは限りません。

企業の人事・採用担当者の94.4%が「中途採用が難しくなっている」と回答しています。理由は、求める要件が高度化し、その組み合わせが複雑になったこと。つまり要件を全部満たす人は、市場にほとんどいません。 全部満たしてから応募するという発想は、手放して構いません。

・応募した会社から、二週間連絡がない。
・書類選考で落ちる回数が、前回の転職より明らかに多い。
・面接まで進んでも、そこから次の案内が来るまでが妙に長い。

転職活動をしていると、こういう時間が続きます。そして待っているあいだに、考えることは決まっています。

・自分の経歴では通用しないのではないか?
・市場価値が思っていたより低いのではないか?

けれど、同じ時期に企業の採用担当者に聞くと、まったく違う言葉が返ってきます。採用がうまくいかない、という言葉です。

JAC Recruitmentが2026年5月に公表した調査に、その実態が出ています。
従業員100名以上で中途採用をしている企業の人事・採用担当者1,088人に聞いたところ、94.4%が「中途採用が難しくなっている」と回答しました。製造業、IT・通信、金融、建設・不動産など7つの業種にまたがる調査です。

つまり、選考のテーブルの両側で、同じように「うまくいかない」という感覚が生じています。この記事では、企業側で何が起きているのかを整理しながら、その事実が求職者側の判断をどう変えるのかを見ていきます。

進まないのは、あなただけではない

まず押さえておきたいのは、この94.4%という数字の意味です。

中途採用を担当している人のほぼ全員が、採用は難しくなったと感じている。求人を出しても求める人が来ない、選考を進めても決まらない、という状態が広く起きているということです。

採用が難しくなっている年齢層として挙げられたのは、20代から30代前半の若手層と、30代後半から40代のミドル層でした。つまり、どちらか一方が余っていて、どちらかが足りない、という単純な構図ではありません。若手は流動性が高くて確保しづらく、ミドル層には高度な役割が求められるため条件が合いにくい。どの層でも、企業は思うように採れていない。

ここから分かるのは、選考が進まないという現象が、あなたの側だけで起きているのではないということです。企業も同じテーブルで足踏みをしています。

転職活動が長引くと、自分だけが取り残されているような感覚になります。周囲は普通に転職しているのに、自分だけがうまくいかない、と。ただ、市場の全体像を見れば、うまくいっていないのは双方です。まずこの前提を持っておくだけで、待ち時間の受け止め方は変わります。

企業が「難しい」と言っている理由

では、なぜ企業は採用に苦戦しているのか。調査では3つの理由が挙げられています。

一つめは、求めるスキルや経験を持つ候補者が市場に少ないこと。二つめは、求めるスキル・経験の組み合わせが複雑化していること。三つめは、他社との採用競争が激しくなっていることです。

注目したいのは、一つめと二つめが「企業の求める水準」に関する理由だという点です。応募者が減ったからでも、質が落ちたからでもありません。企業側が求める条件のほうが、以前より上がり、細かくなっている。

調査の解説でも、即戦力性や専門性を重視する流れが強まり、「何ができるか」「どのフェーズで成果を出せるか」まで含めて見極める採用が増えている、と説明されています。

これを求職者の側から言い換えると、こうなります。あなたの経歴が以前より価値を失ったのではなく、企業が見る目盛りが細かくなった。同じ経歴でも、以前なら「営業経験5年」で済んだ判断が、いまは「どの商材を、どの規模の顧客に、立ち上げ期と拡大期のどちらで」まで見られる。

ハードルが上がったのは事実です。ただ、それは市場の変化であって、あなたの価値が下がったという話ではありません。この二つは、混同しやすいけれど別のことです。

要件を全部満たす人は、そもそもいない

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

企業が困っている理由の中身をもう一度見てください。求めるスキル・経験の「組み合わせ」が複雑化している。そして、その組み合わせを持つ候補者が市場に少ない。

これは裏返すと、企業が求人票に書いている要件を全部満たす人は、市場にほとんどいないということです。企業自身が、そう言っているに等しい。

ところが求職者の側は、求人票を見ると逆の行動を取りがちです。必須要件が5つ並んでいて、3つは当てはまるが2つが足りない。だから応募をやめる。この判断を、多くの人がしています。

けれど、企業側は「5つ全部満たす人がいない」と言っている。だとすれば、3つ当てはまる人が応募してこなければ、その求人は永遠に埋まりません。実際には、企業は要件を満たさない候補者を見ながら、どこまで妥協できるかを考えています。

だから、応募の判断基準を変えたほうがいい。全部満たしているかどうかではなく、自分が満たしている部分が、その企業にとって重要な部分かどうか。ここを見るのです。

たとえば、必須要件のうち「業界経験」が足りなくても、「求められている業務そのものの経験」があるなら、話が進む余地は十分にあります。逆に、業界経験はあるが担当業務がまったく違うなら、そちらのほうが遠いこともある。要件は並列に並んでいますが、企業の中での重みは同じではありません。

全部を満たしてから応募する、という発想を手放してください。足りない前提で、どこが噛み合うかを示す。それが、要件が複雑化した市場での応募の仕方です。

選考が長引くのは、落ちたからとは限らない

もう一つ、待ち時間についての話をしておきます。

企業が「何ができるか」「どのフェーズで成果を出せるか」まで見極めようとしているということは、判断に手間がかかるということです。書類に書かれた職種名と在籍年数だけでは決められないので、複数人で見たり、面接を追加したり、他の候補者と比較したりする。

その結果、選考プロセスは長期化しやすくなります。調査の解説でも、選考が慎重になり、プロセスが長期化しやすくなっているのが実情だと述べられています。

求職者からすると、連絡が来ない時間はすべて悪い知らせに見えます。二週間音沙汰がなければ、落ちたのだろうと考える。けれど企業側では、まだ決めきれていない、他の候補者の面接を待っている、社内で意見が割れている、といった状態のこともあります。

もちろん、単に不合格の連絡が遅いだけの場合もあります。ここは断定できません。ただ、「連絡が遅い=不合格」と自動的に受け取る必要はない、ということは言えます。

実務的な対処としては、選考の途中で次の連絡時期の目安を確認しておくことです。「いつ頃ご連絡いただけますか」と聞いておけば、その日を過ぎるまでは考えなくて済みます。待ち時間を、予定に変えてしまうということです。

そして、返事を待つあいだも他社の選考は進めておく。一社の返事に自分の評価を委ねる状態を作らないほうが、精神的にも実務的にも健全です。

企業も、選ばれる立場になっている

同じ調査に、求職者にとって少し意外な数字があります。

ここ1〜2年で内定辞退が増えていると回答した企業が、約7割にのぼりました。内定を出したのに断られるケースが、企業側で明確に増えているということです。

辞退の理由として多かったのは、ワークライフバランスの希望と合致しなかったこと、そして他社の提示条件が優れていたことでした。

さらに、94.4%の担当者が「候補者の価値観や選考に対する姿勢に変化を感じている」と答えています。条件の良し悪しだけでなく、働き方や裁量、成長機会といった要素を重視する候補者が増えている、という認識です。

この数字が意味するのは、採用が一方通行ではなくなっているということです。企業は選ぶ側であると同時に、選ばれる側でもある。だから調査でも、企業が今後注力したい施策として「母集団形成の強化」が35.1%、「採用ブランディングの強化」が30.3%と挙がっています。どう選ぶかではなく、どう選んでもらうかに、企業側も力を割き始めている。

ここから持ち帰ってほしいのは、面接の受け止め方です。面接を、自分が査定される場だと思っていると、聞きたいことを聞けなくなります。評価を下げたくないので、残業の実態も、任される範囲も、聞かずに帰ってくる。そして入社してから、想像と違ったと気づく。

けれど実際には、企業側も見られていることを自覚しています。働き方や役割について具体的に質問することは、失礼でも不利でもありません。むしろ、入社後を具体的に考えている候補者だと受け取られることのほうが多いはずです。

面接は査定ではなく、相互の確認の場です。この認識を持っているかどうかで、面接での振る舞いは変わります。

では、何を伝えればいいのか

ここまでの話を、応募書類の書き方に落とし込みます。

企業が「何ができるか」「どのフェーズで成果を出せるか」まで見ているのなら、こちらの提示もその粒度に合わせる必要があります。職種名と在籍年数だけでは、判断材料になりません。

具体的には、担当した業務を書くときに、規模と役割と段階を添えることです。何人のチームだったのか。自分はその中でどの部分を担っていたのか。立ち上げの段階だったのか、既にある仕組みを回す段階だったのか。改善が必要な状況だったのか。

同じ「営業を5年」でも、既存顧客を引き継いで回していたのか、新規を開拓していたのかで、企業から見た意味はまったく違います。前者を求めている企業に後者の話をしても噛み合わないし、その逆もそうです。だから、自分がどちらだったのかを明示する。それだけで、企業は判断しやすくなります。

もう一つ、うまくいかなかった経験も書ける材料です。想定どおりに進まなかったときに何を変えたか、という話は、その人の仕事の進め方を示します。成果の大きさより、状況への対応の仕方のほうが、複雑な要件を判断する側には役立ちます。

とはいえ、これを自分ひとりで整理するのは簡単ではありません。日々の仕事は当たり前のこととして流れていくので、あらためて書こうとすると手が止まります。

Talentier〈タレンティア〉が提供しているAI履歴書・職務経歴書作成サービスのPath〈パス〉は、この整理に使えます。完全無料で、採用実務の経験を持つ人が監修しています。質問に答えていくと、これまでの経験が採用担当に伝わる形の文章に整っていきます。要件が複雑になった市場では、経歴を出す側の解像度も上げておいたほうが有利です。

整理ができたら、Talentier〈タレンティア〉の求人サイト、Gate〈ゲート〉で条件から求人を探すこともできます。自分が何を提示できるかが分かっていれば、求人票の要件も違って見えてくるはずです。

まとめ

選考が思うように進まないとき、原因を自分の中だけに探すと苦しくなります。けれど企業側の調査を見ると、採用担当者の94.4%が中途採用は難しくなったと答えていて、停滞は双方で起きています。

企業が苦戦している理由は、求める要件が高度化し、その組み合わせが複雑になったことでした。ここから、いくつか持ち帰れることがあります。

要件を全部満たす人は、そもそも市場にいません。だから、全部満たしてから応募するという発想は手放していい。足りない前提で、噛み合う部分を示すほうが現実的です。

選考が長引くのも、必ずしも不合格を意味しません。企業が細かく見ようとするほど、判断には時間がかかります。次の連絡時期を確認して、待ち時間を予定に変えてしまいましょう。

そして、内定辞退は約7割の企業で増えています。企業も選ばれる立場にある以上、面接は査定の場ではなく、相互に確認する場です。聞きたいことは聞いていい。

市場が変わったのなら、こちらの出し方も変える。それだけの話です。

よくある質問

Q. 書類選考が通らないのは、自分の経歴が弱いからでしょうか?

そうとは限りません。JAC Recruitmentの調査では、人事・採用担当者の94.4%が中途採用は難しくなっていると回答しています。理由として挙げられたのは、求めるスキル・経験を持つ候補者が市場に少ないこと、求める組み合わせが複雑化していること、他社との競争が激しいことでした。つまり企業側の要件が上がっており、経歴の価値が下がったという話ではありません。伝え方の粒度を上げることで、通過率が変わる余地はあります。

Q. 求人票の必須要件を満たしていない場合、応募しないほうがいいですか?

必ずしもそうではありません。同じ調査で企業が挙げた採用難の理由に「求めるスキル・経験の組み合わせが複雑化している」があります。これは、要件を全部満たす候補者が市場にほとんどいないことを企業自身が認めているに近い状態です。要件は並列に見えても、企業内での重みは同じではありません。自分が満たしている部分がその企業にとって重要な部分であれば、応募を検討する価値はあります。

Q. 選考の連絡が来ないのは、不合格ということですか?

断定はできません。ただ、企業が「何ができるか」「どのフェーズで成果を出せるか」まで見極める傾向が強まっており、選考が慎重になりプロセスが長期化しやすくなっているという指摘があります。判断に時間がかかっている可能性もあります。対処としては、選考の途中で次の連絡時期の目安を確認しておくこと、そして並行して他社の選考も進めておくことをおすすめします。

Q. 若手なら転職しやすいのではないですか?

調査では、採用が難しくなっている年齢層として20代〜30代前半の若手層と30代後半〜40代のミドル層の両方が挙げられています。若手層は転職市場での流動性が高く、企業が確保しづらい状況にあります。年齢によって難易度が単純に決まるわけではなく、企業が求める要件と自分の経験がどう噛み合うかのほうが重要です。

Q. 面接で待遇や働き方について質問すると、印象が悪くなりませんか?

過度に心配する必要はありません。同じ調査では、ここ1〜2年で内定辞退が増えたと回答した企業が約7割にのぼり、辞退理由の上位にはワークライフバランスの希望と合わなかったことが挙がっています。企業側も、働き方や役割を明確に伝える必要性を認識しています。入社後の働き方について具体的に確認することは、入社後を真剣に考えている姿勢として受け取られることが多いはずです。

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