面接で質問されると、頭が真っ白になって何を話しているか分からなくなる。言いたいことはあるのに、うまく伝えられない。終わってから「あれも言えばよかった」と後悔する。
転職活動で、とてもよくある悩みです。
ただ、面接で評価される人は、生まれつき話がうまい人ではありません。面接で受かるのは「話がうまい人」ではなく、「伝わる順番で話せる人」です。
その順番をつくってくれるのが、今回紹介するPREP法とSTAR法という2つの型です。名前は少し仰々しいですが、中身はシンプルです。この記事では、例文を多めに使いながら、2つの型の使い分けと実践のコツを解説します。
PREP法・STAR法とは何か
まず、それぞれの基本を押さえましょう。
PREP法(プレップ法)とは
話を「結論→理由→具体例→結論」の順番で組み立てる型です。
Point(結論):まず答えを言い切る
Reason(理由):なぜそう言えるのか
Example(具体例):裏付けになるエピソード
Point(結論):もう一度まとめる
STAR法(スター法)とは
過去の経験を「状況→課題→行動→結果」の流れで伝える型です。
Situation(状況):どんな場面だったか
Task(課題):何が求められていたか
Action(行動):自分は何をしたか
Result(結果):どうなったか
2つの違いを整理すると、こうなります。
PREP法 | STAR法 | |
|---|---|---|
伝えるもの | 意見・考え・強み | 経験・エピソード |
型の流れ | 結論→理由→具体例→結論 | 状況→課題→行動→結果 |
向いている質問 | 「あなたはどう考えるか」 | 「過去に何をしたか」 |
話の主役 | 主張 | 行動 |
どちらも優劣はなく、質問の種類によって使い分けるのがポイントです。
使い分けの判断基準
「2つもあると、どちらを使えばいいか迷う」という方は、質問の聞かれ方に注目してください。
判断基準はシンプルで、考えや価値観を聞かれたらPREP法、経験やエピソードを聞かれたらSTAR法です。
PREP法が向いている質問の例
「あなたの強みは何ですか」
「転職理由を教えてください」
「なぜこの業界を志望しているのですか」
「仕事で大切にしていることは何ですか」
「入社後にやりたいことはありますか」
STAR法が向いている質問の例です。
「これまでで一番苦労した経験を教えてください」
「チームで成果を出した経験はありますか」
「失敗した経験と、そこから学んだことは」
「困難な状況をどう乗り越えましたか」
「リーダーシップを発揮した経験はありますか」
迷ったときは、質問の語尾で見分けられます。
「〜は何ですか」「どう考えますか」と聞かれたらPREP法
「〜した経験を教えてください」と聞かれたらSTAR法です。
なお、近年の中途採用では、過去の具体的な行動を掘り下げて人物を見極める「コンピテンシー面接」と呼ばれるスタイルを取り入れる企業が増えています。
「〜な経験はありますか」という質問が続いたら、STAR法の出番だと考えてください。
実践編:PREP法で回答をつくる
実際に、PREP法で面接の回答を組み立ててみましょう。2つの質問で見ていきます。
例1:「あなたの強みは何ですか」
❌ 型を使わない回答
「えーと、強みはコミュニケーション力だと思います。前職では色々な人と関わっていて、お客様ともチームのメンバーとも、うまくやってきました。はい、コミュニケーションが得意です。」
何が言いたいのかぼんやりしていて、印象に残りません。
✅ PREP法を使った回答
P(結論):「私の強みは、相手の課題を引き出すヒアリング力です。」
R(理由):「前職の営業では、最初から商品を提案するのではなく、まずお客様の話をじっくり聞くことを徹底していました。」
E(具体例):「たとえば『コスト削減をしたい』とおっしゃるお客様の話を掘り下げたところ、本当の課題は業務効率の悪さだと分かりました。そこに合わせた提案に切り替えた結果、月3件ペースだった受注が5件に増えました。」
P(結論):「このように、表面的な要望の奥にある本質的な課題を見つけるヒアリング力が、私の強みです。」
同じ「コミュニケーション力」の話でも、伝わり方がまったく違います。
例2:「転職理由を教えてください」
❌ 型を使わない回答
「今の会社は裁量が少なくて、やりたいことがあまりできなくて。あと、正直、評価にも少し不満があって。それで転職を考えました。」
事実かもしれませんが、不満の羅列に聞こえてしまい、「うちでも同じ不満を持つのでは」と思われかねません。
✅ PREP法を使った回答
P(結論):「提案の裁量が大きい環境で、営業としての幅を広げたいと考えたためです。」
R(理由):「現職はルート営業が中心で、扱う商材も提案の範囲もあらかじめ決まっています。」
E(具体例):「その中でも、既存のお客様への追加提案を自分なりに工夫して受注につなげた経験があり、課題の発見から提案までを一貫して担う仕事がしたいという思いが強くなりました。」
P(結論):「そのため、提案型の営業に力を入れている御社を志望しています。」
PREP法のコツは、最初の結論を1文で短く言い切ることです。
そのほかのコツも挙げておきます。
E(具体例)にはできるだけ数字や固有のエピソードを入れる
最後のP(結論)は、最初の結論の繰り返しではなく、言い換えや補足を加える
ネガティブな事実(不満など)は、そこから何をしたいかという前向きな方向に変換して結論にする
実践編:STAR法で回答をつくる
次はSTAR法です。こちらも2つの例で見てみましょう。
例1:「これまでで一番苦労した経験と、どう乗り越えたかを教えてください」
❌ 型を使わない回答
「前職で売上が落ちたときが大変でした。いろいろ頑張って、なんとか持ち直しました。チームで協力して乗り越えた感じです。」
「いろいろ頑張った」では、何をした人なのかがまったく伝わりません。
✅ STAR法を使った回答
S(状況):「前職でECサイトの運営を担当していた際、主力商品の売上が3カ月連続で前年比80%に落ち込みました。」
T(課題):「原因を特定し、4カ月目までに売上を前年並みに回復させることが求められていました。」
A(行動):「まず売上データとアクセスログを分析し、商品ページの離脱率の高さが原因だと特定しました。そこで商品写真の差し替えと説明文の改善を提案し、メンバー3名と2週間かけてページをリニューアルしました。あわせてSNSでの訴求方法も見直しました。」
R(結果):「翌月の売上は前年比105%まで回復し、離脱率も40%から25%に改善しました。」
例2:「チームで成果を出した経験を教えてください」
営業のような数字が出やすい職種でなくても、STAR法は使えます。事務職の例です。
✅ STAR法を使った回答
S(状況):「経理チーム4名で月次決算を担当していましたが、担当者ごとに作業手順が異なり、締めが毎月遅れがちでした。」
T(課題):「チームとして、月次決算の所要日数を7営業日から5営業日に短縮する目標が課されていました。」
A(行動):「私は各メンバーの作業手順をヒアリングして違いを洗い出し、共通のマニュアルとチェックリストを作成しました。また、重複していた確認工程を整理し、二重チェックの分担を見直すことを提案しました。」
R(結果):「3カ月後には5営業日での締めが定着し、チームの残業時間も月平均10時間減りました。」
STAR法のコツは、A(行動)に一番のボリュームを置き、主語を「私」にすることです。
面接官が知りたいのは、あなたが何を考えてどう動いたかです。そのため、次の点を意識してください。
S(状況)とT(課題)は合わせて2〜3文にとどめ、簡潔に
A(行動)は「チームで頑張った」ではなく「私は何をしたか」を語る
R(結果)は数字で示せると説得力が大きく上がる
状況説明が長くなりすぎて、行動と結果が薄くなるのは一番もったいないパターン
型を使うときの落とし穴
ここまで読むと万能に見える2つの型ですが、使い方を誤ると逆効果になります。よくある落とし穴を4つ挙げます。
暗記した文章の朗読になってしまう
回答を一言一句暗記すると、本番で棒読みになったり、少し違う聞かれ方をされただけで詰まったりします。
覚えるのは文章ではなく、各パーツのキーワードだけにしましょう。PREPなら「結論・理由・エピソードの要点」、STARなら「状況・課題・行動・数字」を単語レベルでメモしておき、本番はその場の言葉でつなぐのが自然です。
すべての質問に型をフル適用してしまう
「今日はどうやって来られましたか」のような雑談や、事実確認の質問にまで結論・理由・具体例と話し始めると、かえって不自然です。型を使うのは、自分をアピールする本題の質問だけで十分です。
深掘り質問を想定していない
面接は一問一答では終わりません。特にSTAR法で経験を話すと、面接官はほぼ確実にA(行動)とR(結果)を掘り下げてきます。
「なぜその行動を選んだのですか」
「ほかの選択肢は検討しましたか」
「それはあなた一人の成果ですか、チームの成果ですか」
型で話した内容は深掘りされる前提で、「なぜ」と「ほかの道」への答えまで用意しておくと強い回答になります。
逆に言えば、深掘りに答えられる経験こそ、面接で話す価値のあるエピソードだということです。
結果を盛ってしまう
R(結果)を実際より大きく話すと、深掘りで矛盾が出ます。数字が曖昧なら「約」「〜ほど」と正直に話すほうが、信頼を守れます。
本番の緊張で型が飛んでしまいがちな方は、あがり症の人のための面接対策とセットでどうぞ。
覚えておきたい応用テクニック
基本を押さえたら、次の3つを知っておくと実戦力が上がります。
PREPの中にミニSTARを埋め込む
PREP法のE(具体例)は、実は小さなSTARで語ると説得力が増します。
「強みはヒアリング力です(P)→ 話を聞くことを徹底してきたからです(R)→ こういう状況で、こういう課題があり、私はこう動いて、こうなりました(E=ミニSTAR)→ だからヒアリング力が強みです(P)」という構造です。
2つの型は別々に使うものではなく、組み合わせられると考えてください。
1つのエピソードを角度を変えて使い回す
質問ごとに別のエピソードを用意する必要はありません。しっかりしたSTAR素材が2〜3本あれば、主要な質問はほぼカバーできます。
たとえば先ほどの月次決算の例は、聞かれ方に応じてこう語り分けられます。
「チームで成果を出した経験は」→ チーム全体の改善として語る
「苦労した経験は」→ メンバーごとに手順が違い、調整が難航した部分を厚めに語る
「あなたの強みは」→ PREP法に組み替えて、「仕組み化する力」の具体例として使う
エピソードの数を増やすより、2〜3本の質の高い素材を多角的に語れるように準備するほうが効率的です。
1回の回答は1分〜1分半・声に出して練習する
どれだけ良い内容でも、長すぎると伝わりません。1回の回答は1分〜1分半を目安にしてください。
練習は、頭の中で考えるだけでなく必ず声に出すこと。スマホの録音機能を使うと、想定より話が長い、「えーと」が多いといった自分のクセに気づけます。
面接準備は、素材の棚卸しから始まる
ここまで読んで、「型は分かったが、そもそも話せるエピソードがない」と感じた方もいるかもしれません。
多くの場合、エピソードがないのではなく、まだ言語化できていないだけです。次のような問いで、記憶を掘り起こしてみてください。
前職で「ありがとう」と言われたのは、どんな場面だったか
自分なりに工夫したこと、やり方を変えたことはあるか
困った状況で、自分はどう動いたか
数字で示せるものはないか(売上、件数、時間短縮、ミス削減など)
そして、ここで気づいてほしいことがあります。この棚卸しで出てくる素材は、職務経歴書に書く内容とまったく同じだということです。
つまり、職務経歴書を先にしっかり作っておくと、面接で語るSTAR素材が揃った状態になります。面接準備の前倒しができるわけです。
しかも面接官は職務経歴書を見ながら質問するので、書類と話す内容が自然につながり、一貫性のある印象になります。
その最初の一歩に使えるのがTalentier Pathです。経歴を箇条書きで入力するだけで、AIが職務経歴書の形に整理してくれます。採用実務の経験を持つコンサルタントが監修しているため、面接官が掘り下げたくなるポイントを押さえた書類に仕上がります。完全無料です。
面接は、話がうまい人が受かる場ではありません。伝わる順番で、根拠のある話ができる人が受かる場です。
PREP法とSTAR法という2つの型を味方につけて、落ち着いて臨んでください。
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